最近は、タレントやモデルさんが筋トレを頑張る姿をSNSにアップしたり、ライザップさんのCMの影響もあったりして、筋トレがブームになっています。当研究所でも、ダイエットするときにどれか一つ運動を選べと言われたら筋トレをオススメします。
そんなダイエットには欠かせない筋トレですが、一般的な認知はまだまだ間違いがあるように思います。特に、女性に筋トレの話をすると
「筋肉ムキムキにはなりたくないんです、引き締めたいだけなんです」
とおっしゃる方が沢山いらっしゃいますが、本当に筋トレをやったらムキムキになるのでしょうか?それに対する私の答えは、
「ムキムキになる心配はまずありません、安心して筋トレに励みましょう!」
です。私はこのように考える人が多いのは、筋トレに対して3つの誤解があるからではないかと思います。
- 筋肉は簡単についてなかなか落ちないと思っている
- 筋肉で太ることもあると思っている
- 動きが同じなら筋トレの効果は同じだと思っている
この記事ではこの誤解を解消していくので、「筋トレでムキムキになるかも」とか「いらない部位に筋肉が付いたらどうしよう」という不安も消え筋トレに迷いなく打ち込めるのではないかと思います。
誤解その1:筋肉は簡単についてなかなか落ちない
女性がムキムキにならないと断言できる科学的な理由
私は女性はマッチョになることはまずないと断言していますが、ちゃんとした根拠があります。それは女性と男性のホルモンバランスの違いです。
「これで筋トレの努力を無駄にしない!筋肉を増やす4つの条件」という記事でも紹介したのですが、筋肉が大きくなるためには4つの条件が揃う必要があります。
- 十分なエネルギーと材料(つまり摂取カロリー)
- 筋肉への十分な刺激(筋トレや運動)
- テストステロンやインスリンなどのホルモンの分泌
- 睡眠
今回注目するのは3番のホルモンの分泌です。
ホルモンは体のさまざまな働きを調整する分泌物ですが、筋肉を増やすスイッチを入れるためにはテストステロンなどの男性ホルモンが欠かせません。どんなに筋トレを頑張ってもテストステロンが少ないと筋肉が増えるスイッチが入らず、筋肉はなかなか増えないのです。
そして、女性のテストステロンの分泌量は男性の5〜10%程度しかありません。桁違いに少ないのです。
このように生物学的に女性は筋肉が発達しにくいので、ちょっとやそっと筋トレして栄養をとっても男性のような体になることは不可能です。この壁を破るにはテストステロンを投与したり薬物を使うなどする必要があります。
頑張っても女性アスリートレベル
生物学的な限界を確認するには、よく鍛えられた女性アスリートを見てみるとよいです。彼女らは筋肉質ではあっても、男性ほどマッチョな人はいないですよね。※体重が必要な競技の場合はゴツい人もいますが、それはある程度の脂肪もついています。
毎日のようにトレーニングに打ち込んで栄養をしっかり管理してもその程度までしか筋肉は発達しないのです。ましてや、普通の人が少し筋トレしただけでそのレベルになることはありません。
遺伝的に男性ホルモンの分泌が多いとか、アスリート並にトレーニングに打ち込まない限り心配は不要だといういことが分かるとおもいます。
筋肉を減らすのは脂肪を減らすよりずっと簡単
万が一あなたが遺伝的に恵まれていて、筋トレをしてマッチョになってしまったとします。
でも安心してください。筋肉を減らすのは脂肪を減らすより遙かに簡単です。筋トレを止めて、できるだけ使わないようにすれば良いだけです。
ですので、筋肉が増えすぎたらそのときに考えればよいのです。そんな心配は筋肉が増えてからで大丈夫です。
骨折してギブスで固めたことがある人ならわかると思いますが、1ヶ月ほど固定して使わないだけでも筋肉は非常に細くなります。全く動かさないというのは筋肉を減らす最短コースです。
ただし、この場合は筋肉が萎縮しているので柔軟性も落ち可動域の回復も大変になります。まちがっても細くする目的でそんなことはしないでくださいね。動けなくなったら本末転倒です。
誤解その2:筋肉太りは本当にあるの?
脂肪か筋肉かハッキリさせよう
たまに、「筋肉太り」なんてことをいう方もいるのですが、先ほども書きましたが女性がそこまで筋肥大させるのはかなり難しいです。そんなになるなら女性のボディビルダーは苦労しません。
では、なぜ太いのか?
それは残念ながら体脂肪が多いだけです。筋肉のせいにせず現実をしっかり直視しましょう。
とはいえ、その太さが筋肉なのか、脂肪なのかハッキリとはさせたいですね。簡易的に皮下脂肪の厚みを調べるには下の写真のように皮膚をつまんでみるとよいです。
つまんだ部分の厚みが皮下脂肪の厚みの目安になります。ちなみにこの写真は私のふくらはぎの写真ですが、体脂肪は10%前後です。
あなたはどうでしたか?つまんだ厚みの半分ぐらいの厚みが実際の体脂肪の厚みの目安になります。その厚さ分だけ脂肪が筋肉の上を覆っています。
「筋肉で太くなった!」といっている方はぜひ皮膚をつまんで確認してみてください。本当に筋肉太りかどうかわかると思いますよ。
それ、浮腫んでるだけでは?
特にふくらはぎに多いですが、単純に浮腫んで太いということもよくあります。
浮腫んでいるかどうかは、例えば靴下のゴムの跡がすぐに消えるかどうかや、スネを指で数秒間押さえて離したときに、すぐに凹みがもどるかどうかで判断できます。
健康な人で浮腫む場合は体液の循環が悪いだけであることが多く、主に次のような理由が考えられます。
- 運動不足
- 筋肉が少ない
- 水分不足
- タンパク質・ミネラル不足
浮腫解消には運動・筋トレも効果があります。筋トレをしないのは返って逆効果なぐらいです。
誤解その3:動きが同じなら筋トレの効果は同じだと思っている
ここまでで、女性は筋肉が増えにくいと説明をしてきました。とはいえ、ダイエット中はアンダーカロリーなので本当に難しいのですが、適切な刺激と栄養を与えれば、男性ほどではないにしろ筋肉は確実に増えていきます。
そのときに希望するところと違うところが太く発達するというケースがあります。
男性ぐらいの発達でなくても、思った体型にならないわけですから、「筋トレして筋肉がつきすぎた!」とか「筋肉太り」と言いたくなる気持ちも理解できます。
ひょっとすると、これが「筋トレしてムキムキになるのが心配」の正確な意図なのかもしれません。
私がよく見かけるのは、筋トレやランニングを始めてふくらはぎや太ももが太くなったというケースです。この場合、筋トレやランニングのフォーム、つまり体の使い方が悪いといえます。
最初に書いた筋肉が増える条件の中に「刺激」という項目がありましたが、刺激が入る(よく使われる)と筋肉は発達し、刺激が入らないと筋肉は発達しません。
最近はYoutTube動画で筋トレのやり方を簡単に見ることができ、見よう見まねで同じことができるようになってきました。便利になりましたね。
しかし、目で見える動作と実際に使っている筋肉が一致しないケースが多々あるのです。
例えば、スクワットは少し角度や意識を変えるだけで、太ももの前かお尻のどちらに効くかが変わります。
ですので、筋トレをする場合は、自分の鍛えたい筋肉がしっかり使われているか、鍛えなくない筋肉が使われていないか、をしっかり意識しなければなりません。単純に動きを真似するだけではダメなのです。
大切なのは同じ動きをするのではなく、自分の鍛えたい筋肉に効いているかどうか。きちんと効いてれば多少動画と違っていてもよいです。そもそも骨格や柔軟性が違うので最適なフォームは人それぞれ違いますからね。
大切なのでもう一度書きますね。
筋トレは動きを真似るのではなく、効かせたいところに効かせることが大切。
筋トレでイマイチ効果がでていない方は、そこをもう一度よく考えてフォームや意識を見直してください。
ちなみにウォーキングのような有酸素運動でも、フォームが悪いとふくらはぎの筋肉を過剰に使うことがよくあり、そういう方は確かにふくらはぎの筋肉がよく発達しています。
つまり、日常よくやる動作でも体の使い方一つでよく使う筋肉が変わり、体のラインも変わってくるわけです。
そういった体の使い方の話は長くなるのでまた別の記事で書きたいと思いますが、体の使い方は考えている以上に体型に影響を及ぼすということは覚えておきましょう。
そこが理解できていれば、万が一筋肉がモリモリ増えたとしても、予期せぬ部位が太くなり、「こんなはずじゃなかったのに…」を避けることができるようになります。
- 女性はテストステロンの分泌が男性の1/10以下なので、並の努力ではムキムキにならない
- 筋肉太りを疑う前に皮下脂肪の厚みや浮腫をチェックしよう。
- 筋トレは狙った筋肉を使えているかが重要。そこさえ間違えなければ意図しない場所に筋肉がつくことはない。
適切なフォームで筋トレをすれば「ムキムキになった」、「意図しないところが太くなった」ということはまず起こりません。そんなことを言い訳にせず(笑)筋トレや運動に取り組みましょう。
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