普段からあまり体を動かさない人が、急に運動をすると翌日ぐらいに筋肉痛になります。そして、何回かその運動を繰り返すと筋肉痛にほとんどならなくなるのが普通です。
ですが、筋トレはその気になれば毎回それなりの筋肉痛になることが可能ですし、筋肉痛があると「効いている」と感じる人も多いのではないでしょうか?逆に筋肉痛にならない筋トレはダメと思っている人もいるかもしれません。
結論としては筋肉痛を筋肉の発達には相関関係はないので、筋肉痛がでなくてもトレーニング効果は十分に見込めます。(もちろん、正しくトレーニングできていることが前提ですが)
この記事では筋トレとトレーニング効果についてもう少し深掘りしてみようと思います。
筋肉痛は原因不明!?
筋肉痛というと言葉どおり「筋肉の痛み」ですからケガによる痛みや病気による痛みなど様々なものを含むことになります。
この記事で対象としている筋肉痛は、運動後しばらく(1日ぐらい)してから痛みだし数日でなおる「遅発性筋肉痛」になります。
遅発性筋肉痛は、久しぶりに運動したり、普段と違う動きをした場合に出る痛みで、おそらくほとんどに人が経験したことがある痛みだと思います。
それほど身近な遅発性筋肉痛ですが、実は発生するメカニズムはよくわかっていません。いくつかの説が出されているのですが決定的とは言えないのが現状です。
「こんなに医学が発達しているのに…」
と思うかもしれませんが、実際には筋肉が収縮する仕組みもまだ完全には解明されていません。それほど人体の仕組みは複雑なものなのです。
原因がわからないとはいえ、筋肉痛の状態では筋肉の組織に何らかの損傷が起こっていることは確かです。
だからといって全く動かさないのは返って回復を遅くしますが、かといって激しく動かして痛めた組織をさらに痛めつけるようなこともよくありません。
軽く動かす程度の運動をすることがオススメです。
筋肉痛になりやすい運動・なりにくい運動
筋肉の収縮には3種類あります。これは筋トレをするなら絶対に知っておいて欲しい知識です。
- 短縮性(コンセントリック)収縮
筋肉が縮みながら力を発揮する動作。
重いモノを持ち上げるなど - 伸張性(エキセントリック)収縮
筋肉が伸びながら力を発揮する動作。
重いモノをゆっくり下ろすなど - 等長性(アイソメトリック)収縮
筋肉の長さが変わらず力を発揮する動作。
空気椅子など
この3つの収縮タイプの中で筋肉痛が起こりやすいのは、エキセントリック収縮の動きです。
例えばランニングの着地は、太ももの前やふくらはぎが着地の衝撃を受け止めるときにエキセントリック収縮の動きになります。その為、久しぶりに走ると脚が筋肉痛になるわけです。
特に大きな力で長い時間エキセントリック収縮をした方がより筋肉痛になると言われており、筋トレでは重りを下ろす動作の時にゆっくり下ろす方が筋肉痛になりやすくなります。
逆に筋トレをしてもあまり筋肉痛にならない場合、ウェイトを下ろす動作で力を抜いてしまっている可能性が高いです。
一方で、コンセントリック収縮やアイソメトリック収縮では筋肉痛が出にくいです。
コンセントリック収縮で身近な動作というと水泳や自転車のペダリングが当てはまります。もちろん水泳や自転車でも多少の筋肉痛はでますが、「ひ〜」というほどの筋肉痛になることはまずありません。
筋肉痛はなくても筋肉は発達する
筋肉痛があるということは筋肉が何かしらダメージをうけた状態といえます。
ダメージを受けた筋肉は前よりも強く補強される
↓
筋肉痛があった方が良い
と考えたくなりますが、筋肉の発達に筋肉痛が必要かというと必ずしもそうではありません。筋肉痛にほとんどならないコンセントリックな運動でも筋肉は発達します。
確かに「エキセントリック収縮を重視してトレーニングした方が筋肥大が早い」という研究結果はあるのですが、その研究でも長期的に見ると最終的にはエキセントリックでもコンセントリックでもどちらも同じレベルの筋肥大量に落ち着くことが示唆されています。
つまり、筋肉痛があってもなくても適切にトレーニングできていれば最終的な結果は同じということです。
適切なトレーニングとは、筋肉の限界を少し超えるぐらいの刺激を入れられるトレーニングであって、そのときの刺激というのは筋肉痛ではなく筋肉への負荷のことです。
ですので、筋トレをして筋肉痛がほとんど出なくても悲観的になる必要はありません。
ただ、筋肉痛が出ないということはエキセントリック収縮の状態が少ない、つまりウェイトを下ろす時に力を抜いている可能性が高いです。それでは筋肉にあたえる刺激が弱まりますから結果的に筋肉が発達しにくいといえます。
まとめると、筋トレはエキセントリック収縮を意識して行い、少し筋肉痛があるぐらいにしておくのがちょうど良いと私は考えています。
- 筋肉痛があってもなくても筋肉は発達する
- 筋肉の発達には適切な刺激が必要
- エキセントリック収縮の動きをやると筋肉痛になりやすい
- エキセントリック収縮は短期的な筋発達によいので、筋トレではエキセントリック収縮の動きを意識したほうがよい
筋肉痛があった方がやった感はでるので、筋トレ後は軽い筋肉痛はあったほうがベターです。筋トレして全く筋肉痛がない場合はエキセントリック収縮の動きをサボっている可能性が高いのでフォームをチェックしましょう。
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