日本人の筋トレに対するイメージの一つとして「筋トレで体は硬くなる」というのがあります。コーチやトレーナ、私のような整体師でもそう考えてる人は結構いるように思います。
では、果たしてホントの所はどうなのでしょう?そのあたりを考えて見たいと思います。
筋トレと柔軟性の研究結果
いきなりですが、そのものズバリの研究結果があります。
Resistance training vs. static stretching: effects on flexibility and strength.
この研究では参加者を以下の3つに分けています。
参加者はトレーニング経験無しの人です。
・筋トレだけやるグループ
・ストレッチだけやるグループ
・何もしないグループ
5週間後に体の柔軟性を調べたところ、筋トレ群、ストレッチ群どちらも何もしなかったグループより柔軟性が上がり、さらに両者の差はほとんど無かったそうです。
サンプル数が25人と少ないのでこれだけで結論づけるのは微妙ですが、同じような研究はいくつかあるようで、どれも筋トレは柔軟性を増すという結果が出ています。
筋トレすると硬くなると誤解された理由
研究結果だけでなく、実際のボディビルのコンテストで選手のポージングを見ても筋トレと柔軟性の低下は無関係だということがわかります。
では、どうして誤解されるのでしょう。
筋肉は硬いというイメージ説
筋肉は力を入れると硬くなり、力を抜くとフニャフニャになります。
ところが整体に来る患者さんと話していると「力を抜くと言われてもやり方が分からない」という方がかなりの割合でいらっしゃいます。脱力してリラックスした状態がイメージできないのです。
また、漫画などでは「鋼のような筋肉」とか「筋肉の鎧をまとう」といような表現がよくされます。
このことから考えるに、筋肉といえば力を入れた硬い状態の方をイメージする人が結構な割合でいるのではないでしょうか?
そうすると
筋肉隆々→“硬い”筋肉がたくさんある→体が硬い
という印象をもつのも頷けますね。
本当に筋トレのやり方が悪い説
先ほど紹介した論文をよく読むと、「フルレンジでトレーニングした」と書いてあります。
私はここがとても重要なポイントだと考えています。フルレンジとは可動域一杯まで動かすことを意味しますが、それってストレッチと同じですからね。
つまりフルレンジの筋トレはストレッチも兼ねていると考えることができるわけです。
そう考えるとパーシャル(少ない可動域で行うこと)で筋トレを行ってばかりだと、ストレッチが全くなく柔軟性は変化しないという可能性があります。
また、必要以上に高頻度で筋トレを行うと損傷を受けた筋繊維の再生が追いつきません。治りきっていない筋繊維に高負荷がかかると体はそれを補うために手っ取り早くコラーゲンという結合組織によって補強しようとします。そして筋繊維中のコラーゲンが増えると筋肉は伸びにくくなると考えられます。
要は筋トレの基本が分かってない人は、筋トレをしても柔らかくならない、逆に硬くなるという状況になることが十分考えられます。
このように、筋肉に対するイメージと間違った筋トレ方法によって筋トレすると硬くなるというイメージが形成されたのではないでしょうか?
あくまで推論ですが大はズレでもないように思います。
筋トレで柔軟性を増すためのポイント
では、最後に筋トレで柔軟性を増すためのポイントを書いておきましょう。
- 毎日同じ部位をやらない
- フルレンジでやる
という筋トレの基本をしっかり守ることが大切といえそうですね。
もちろん、ケガや追い込むためにパーシャルを入れることもテクニックの一つとして大切ですが、その場合は筋トレ後のストレッチも十分に行う方がベターでしょう。
よく「しなやかで引き締まった体」といわれますが、それを目指すならヨガやストレッチをやるよりもフルレンジの筋トレが一番理想的なんじゃないかと思います。なんせ筋肉もついて柔らかくなるんですからね。
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