ダイエットの基本は食習慣を変えていくことです。こう書くとシンプルですが、具体的にどういう食事・食材がよいかという話になると、お互いに矛盾するような主張が飛び交い何が正しいのか分からなくなります。
そんなときには基本に立ち返って考えることが一番です。
ということで、今回は食事の基本となる三大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)について、やさしくまとめてみました。厳密性よりわかりやすさ、ダイエットに直結することに軸足をおいて説明していますのでその点はご了承ください。
タンパク質:重要度No1栄養素!
タンパク質は筋肉、臓器、血液、皮膚、爪、髪の毛などの体をつくるメインの材料で、免疫抗体や酵素にもなります。
さらに、エネルギーが足りない緊急時には分解されてエネルギーとしても使われます。
まさに生きていくために必須の栄養素といえますね。
ちなみに、英語でタンパク質のことを protein(プロテイン)と呼びますが単語の由来はギリシャ語で「第一の〜」を意味する prōteîos という言葉からとられています。このことからも重要な栄養素ということがわかります。
タンパク質をたくさん含んでいる食品には次のようなものがあります。
- 肉(牛、ブタ、鶏など)
- 魚貝類(魚、貝、イカ、ねり物など)
- 卵
- 大豆、納豆、豆腐など
- 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)
意外なものはないと思いますが、タンパク質と言ったらすぐに思い浮かべられるようになっておきたいですね
タンパク質が不足すると筋肉が減るだけでなく、免疫力の低下などにもつながるので摂取量には十分に気をつける必要があります。特にダイエット中にタンパク質を減らすことは絶対にNGだと考えてください。
筋肉を残して脂肪だけを減らすためには思っている以上にタンパク質を摂取する必要があります(体重1kgあたり1.5〜2gぐらいを目標)。
「ダイエット中はとにかくタンパク質!」
ぐらいに考えておきましょう。
脂質:嫌われものだけど、なくてはならない栄養素
脂質というとエネルギー源というイメージが強いと思います。実際、1gで9kcalのエネルギーを持ち、これはタンパク質や糖質の約2倍になります。
つまり軽くて高エネルギーなので、非常時のエネルギー源として蓄えておくには好都合な栄養素です。だからこそ、体は積極的に体脂肪として蓄えるわけです。
脂質はエネルギー源として優秀ですが、実は体の材料としても色々な場所で使われています。例えば体の細胞膜やホルモンの材料となりますし、脳細胞の70%は脂質と言われています。他にも、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)の吸収の助けにもなるなど、生きていくためには欠かせない栄養素であって、決して悪者でありません。
さらに、脂質には体内で合成できない必須脂肪酸もあるため食事からある程度は摂る必要があります。体にたくさん脂肪が付いているから食べなくてもそこから補える…とはならないのですね、残念。
脂肪を多く含む食べ物には次のようなものがあります。
- 乳製品(バターやチーズなど)
- 肉類(牛やブタのロース、ベーコンなど)
- お菓子類(ケーキ、クッキー、チョコレートなど)
- 卵
- パン、揚げ物、炒め物など
- ドレッシングやマーガリンなど
脂質は素材単体だけでなく、調理する際にも追加するので思っている以上に摂取量が多くなります。また加熱した油は酸化して劣化している場合が多いです。
先ほども書いたように必須脂肪酸は必ず摂る必要があるので、ダイエットだからといって極端に脂質を避けてしまうと、ホルモンバランスが崩れたり栄養の吸収が悪くなり体調不良に陥ります。それはやせにくさにも影響します。
ですので、ある程度は摂る必要があるのですが、考え方としては良質の脂質(エゴマ油や亜麻仁油、DHAなどの魚の脂)をほどほどに摂ることが理想です。逆に質の悪い脂質(揚げ物やマーガリンなど加工度が高いもの)は極力避けるようにしましょう。
炭水化物:肥満の原因と非難されがちな栄養素
炭水化物というのは糖質と食物繊維を合わせたものです。そしてこの2つは全く違う働きをします。
糖質について
糖質の役割は体のエネルギー源です。筋肉は脂質と糖質をどちらも利用できますが、赤血球はブドウ糖しか使えません。脳も主なエネルギー源は糖質です(脂質もケトン体という形で利用可能)。
タンパク質や脂質との最大の違いは体の材料にならないということで、純粋にエネルギーのみの栄養素です。
また、必須糖質というものはなく最低限必要な分は体内で合成することができるので、理論的にはゼロでも生きていくことができます。
そうすると体は脂肪を積極的に使うのでやせやすい…というのが糖質制限推奨派の理論的根拠の一つです。
これは間違ってはいませんが、体に大きな負担をかけている状態になるため、私は長期間やるようなものではないと考えています。このあたりの詳しい話はまた別の機会に。
糖質は次のような食品に多く含まれています。
- コメ、小麦、コーンなどの穀類
- 芋類(ジャガイモ、サツマイモなど)
- 根菜類(カボチャやレンコンなど)
- 果物
- 砂糖、はちみつなど
- お菓子類、加工食品全般
基本的には甘いモノが多いですが、コメや小麦のように甘くないけど高糖質なものも多いです。そして、どれも美味しい…
糖質は美味しいのでついつい食べ過ぎになりがちですが、摂取しすぎは肥満だけでなく糖尿病など健康にも悪影響を及ぼしてしまいます。
ただし、次に説明する食物繊維と一緒に摂れば悪い部分はかなり減ると考えておいてください。ダイエットで避けるのは砂糖や白米などの精製されたピュアな糖質です。
食物繊維について
食物繊維は体内の消化酵素で消化されにくい成分の総称です。
食物繊維というと便秘の改善が真っ先に浮かぶ方が多いと思いますが、近年の研究では腸内細菌の餌となり、間接的に体にとって重要な栄養素であることが明らかになってきています。
食物繊維は大腸で短鎖脂肪酸や水素、メタンなどに分解されます。特に短鎖脂肪酸は大腸のエネルギー源となったり、GLP-1と呼ばれるホルモンの分泌を促したりします。このGLP-1は糖尿病の治療やダイエットに効果的なホルモンとして今注目を集めているホルモンです。
このように、食物繊維は役に立たないどころから私たちの健康やダイエットにとてもよい影響を与える成分になります。
- もち麦、玄米、オートミールなどの未精製の穀類
- 豆類(大豆やおからなど)
- イモ類(サツマイモ、里芋、コンニャクなど)
- 野菜類(ゴボウ、ふき、セロリ、青菜類、キャベツなど)
- 果物(柑橘類、バナナなど)
- キノコ類(椎茸、しめじなど)
- 海藻類(ワカメ、海苔、もずく、寒天など)
食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分けられますが特に水溶性食物繊維(βグルカン)の重要性が今は注目されています。
糖質制限ブームで肥満の原因と非難されることが多くなってきましたが、食物繊維と一緒に摂れば問題ありません。モチロン食べ過ぎはだめですが、果物やサツマイモ、もち麦などは避けなくても大丈夫です。
一方で、食物繊維が少ないorほぼゼロの糖質(砂糖、白米、パスタ、うどん、パン、お菓子など)が多い食品はNGです。
このように炭水化物といっても種類によって体に対する影響が大きく違うので、賢く選ぶようにしましょう。
3大栄養素の配分の考え方
3大栄養素について説明してきましたが、最後にダイエットでは具体的にどう考えるのかについて説明します。
各栄養素の注意点のところで書きましたが基本的な考え方は次のようになります。
- タンパク質タップリ
- 脂質は控えめ
- 炭水化物は精製されたものを避けて食物繊維をタップリ
タンパク質の量は常にキープして、脂質と炭水化物(の中の糖質)の量で総カロリーをコントロールするイメージです。
これが意識できていれば、大きく外すことはありません。
あとは、各人の生活習慣や環境に合わせて手に入る食材・料理を選ぶようにしていくだけです。
- タンパク質
体の材料と緊急時のエネルギー - 脂質
体の材料(体脂肪だけではない)とメインエネルギー - 炭水化物(糖質+食物繊維)
体のメインエネルギー
タンパク質は体の材料なので不足すると筋肉が減る。ダイエット中は量を減らさない!
脂質は必須脂肪酸は必要なので極端に減らすのはNG。良質の脂肪をほどほどに。
糖質はエネルギーとしての役割しかないので摂りすぎに注意。不足しても脂肪やタンパク質が代わりになるが体への負担は大きくなる。また炭水化物として含まれる食物繊維は腸内環境に重要。
精製された糖質ではなく、食物繊維を豊富に含んだ炭水化物をたべることが大切。
ダイエット中の食事は次のポイントを抑えるようにしましょう。
- タンパク質はしっかり食べる
- 脂質は質で選び控えめに
- 炭水化物は食物繊維が多い物を選び、精製されたものはできるだけ避ける
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