実際にやると分かるのですが、短期間で目に見て分かるほど筋肉を増やすことはなかなか大変です。筋トレは過剰に期待せず、淡々と励むのが一番です。
とはいえ、それはゴールのないマラソンを走るようなもの。やはり「どれぐらい頑張ればよいのか?」ぐらいは知りたいものですよね。
ということで、1年間トレーニングを頑張ったとしてどれぐらい筋肉量は増えるものなのか調べました。
Lyle McDonald氏の提唱するモデル
どれぐらい筋肉を増やすことができるのか?という問いには多くの人が研究しています。その中で海外で著名な研究者が提案している数字を紹介したいと思います。
まずはLyle McDonald氏。Lyleは海外のフィットネス業界では有名な研究者で次のようなモデルを提唱しています。(元データはポンドでしたがkgに換算しています。小数点2以下は四捨五入)
筋トレ年数 | 1年で得られる筋肉量 |
---|---|
1年 | 9〜11kg(0.9kg/月) |
2年 | 4.5〜5.4kg(0.45kg/月) |
3年 | 2.3〜2.7kg(0.23kg/月) |
4年以上 | 0.9〜1.4kg |
これは男性の場合で、女性はこの数字の半分ぐらいとLyle氏は言っています。
1列目が筋トレ年数になっていることに注目してください。後ほど書きますが、この解釈には注意が必要です。
Alan Aragon氏の提唱するモデル
Alan Aragon氏もLyle氏と同様に海外では著名な研究者です。この方は次のようなモデルを提唱しています。
カテゴリー | 1ヶ月で得られる筋肉量 |
---|---|
初級者 | 体重の1〜1.5%(体重60kgで6〜9kg) |
中級者 | 体重の0.5〜1%(体重60kgで3〜6kg) |
上級者 | 体重の0.25〜0.5%(体重60kgで1.5kg〜3kg) |
この表も男性の場合の数値です。Alan氏も女性はこの数値の半分ぐらいと言っています。
初級者や中級者といったカテゴリーで増加率を分けていますが、カテゴリーをどこで区切るのかは難しい問題です。とはいえ、このブログの想定している読者の方は初級者と考えてよいと思います。
筋肉量によって増え方が変わる
Alan氏の初級・中級というのも結局はトレーニング期間と関連することなので、両モデルともトレーニングを長期間続けるほど筋肉は増えにくくなることを示しているように感じる人もいるかと思います。
しかし、その解釈は違います。
一般的に体に付く筋肉の量は遺伝や骨格などから上限があると考えられており、その上限に近づくにつれ筋肉は増えにくくなると考えられています。つまり、筋肉の増加量のパラメータは期間ではなく筋肉量です。
Alanのいう初級者や上級者というのは、トレーニング期間ではなく、「どれぐらいのウェイトを扱えるか」という意味のカテゴリーで分けです。Lyleも年数で区切っていますが「適切なトレーニングと栄養管理が前提」と言っています。
ただ漫然と筋トレをしているだけではこの表のようにはならないので注意しましょう。
「筋トレを何年もやっているのに全く筋肉が増えない」という人がたまに(というか結構多いかも)いらっしゃいますが、それは筋トレのやり方、もしくは食事管理のどちらか(たいていは両方)に致命的な問題があるということです。そういう方は、
- しっかり負荷をかけて追い込めているか
- トレーニングの頻度・ボリュームは適切か
- 栄養管理をしっかりやっているか?
そういった点をもう一度見直してみましょう。
日本の研究例
海外の例を2つご紹介してきましたが、これらは基本的に欧米人のデータです。日本人ではどうなのかは気になりますよね。
他の記事でも紹介したのですが、東大の石井直方先生が行った実験では、あまり運動していない人、つまり筋トレ初心者を3ヶ月トレーニングした結果、年齢性別を問わず20%ぐらい筋肉量を増やすことができたそうです。
この結果を体重60kg、筋肉率が40%(24kgの筋肉量)の男性に当てはめると、3ヶ月後には24kg×0.2=4.8kgぐらい筋肉が増えることになります。1ヶ月にすると1.6kg、体重当たりの増加率は約2%となります。
これだけ見ると先ほどの2例よりも高い数値となり、「日本人って筋肉つきやすいの?」となりそうですが、この実験は3ヶ月間の結果です。
筋トレの期間が長くなるほど筋肉は増えにくくなることを考えると、1年間でみればもっと増加率は下がるはずなので、同じような値に落ち着くのではないかと考えられます。
男女の差もなかった点が気になりますが、初心者の場合は男女関係なく最初の数ヶ月は急激に増加するものなのかもしれません。女性の方が増加率が低下する率が高いということも考えられます。いずれにせよ長期的に見て女性の方が男性より筋肉が付きにくいことは明らかなので、この部分は参考程度と考えておくべきでしょう。
少しスッキリしないところもありますが、日本人でもLyleモデルやAlanモデルをベースに考えておけば大きくは外さないと考えられます。
1年で10kgの筋肉ってどれぐらい?
これまでの話で、どんなに頑張っても1年で増える筋肉量は10kg程度だということが分かりました。
この数字を聞いて「たったの10kg」と思う方もいるかもしれませんが、10kg分の肉って結構な量です。
コンビニに売っているサラダチキンが1つ約100gです。あれ100個を体にペタペタ貼り付けたら…なかなかのボリュームですよね。それだけついたら細マッチョどころではありません。
ただ、女性の方はビックリしないでくださいね。これは男性の話で、それもオーバーカロリーでしっかり食べた場合の話です。
女性の場合はどんなに頑張ってもその半分、さらにダイエットも平行して行うなら絶対にムキムキにことはありません。安心して筋トレしてください。
もし、ダイエットと平行して筋トレをした場合になぜ筋肉が増えにくいのか気になる方は「短期間で細マッチョになるための条件とは?筋発達のホントのところ 」も読んでみてください。
- 筋トレ初心者はベストな条件であれば1年で10kg前後まで筋肉を増やすことができる(女性の場合は5kg前後)
- 上記の数字は正しいトレーニングと食事が前提。ダイエットと平行やる場合はこのように増やすことはできない。
- 増えれば増えるほど筋肉は増えにくくなる。
理想的な条件ではかなりの筋肉を付けることができます。筋肉を増やしたい方には良い話ですね。ただし、その場合はある程度脂肪も付くことになるので注意しましょう。
一方で、女性のダイエットでは筋肉は紹介したモデルのように増えることはないので安心して筋トレしましょうね。
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