日本では1日三食、バランス良く食べることが健康作りの基本と言われています。
でも、1日3食の人でも太っていたり生活習慣病になっている人がいることは間違いありません。また、1日2食でも健康的な人もたくさんいます。例外がある、それも1人や2人ではなくもっとたくさんの例外があるということは、その理論は果たして正しいのか?と疑問を持ってあたりまえだと思います。
今回は1日3食バランス良くという食事の根拠について考えてみましょう。
1日3食は江戸時代から
日本の食事の歴史を勉強すると江戸時代までは1日2食というのが普通だったようです。もともとは貴族社会の習慣だったようで、江戸幕府が誕生するまでは「二食は優雅、三食は野卑」とされていたそうです。
今とは大違いですね。まぁ、そのころの日本人の運動量や健康状態、食事内容は今とまったく異なりますからあくまで参考程度の話です。これをもって「2食が本来の食事数だ!」とは言えないでしょう。
江戸時代に庶民が3食になるきっかけは明暦の大火(1657年)だと言われています。大火事から復興するために沢山の大工さんに一日中働いてもらったわけですが、このときに朝と夜の2食だけでは体力が持たないから昼食も加えて3食になったそうです。
3食になったのはお米のせい?
こう書くと、忙しくて体を使う人は1日3食がやはり必要なのでは?ということになりますね。しかし、ここで一つ大事なポイントしてその食事内容が挙げられます。
当時は米が豊富に市場に出回る状況にあり(貨幣経済が普及し武士は米を売ってお金に換えていた)米を食べる習慣が庶民の間にも広まってきていたと考えられています。
そうすると、当然大工さんに支給される食べ物も米の飯であった可能性が高いですね。朝から握り飯を沢山食べると血糖値の急上昇・急降下が起こります。ですから米などの炭水化物は空腹感を素早く満たしてくれますが、その効果は数時間でその後は強い空腹感が襲ってきます。
だから大工さん達は朝食と夕食だけでは空腹で働けない。結果として1日3食になったという可能性もあるわけです。
この説はかなり大雑把なのでどこまで正しいか怪しいですが、言いたいことは炭水化物を沢山食べる食事は血糖値の乱れによる空腹感がおきやすいので1日に3回ぐらいは食べたくなる、ということです。
もっというと10時と15時のおやつも炭水化物を豊富に食べることから起こる空腹感がそうさせている可能性も高いです。
1日3食が政府公認で推奨されたのは?
今までの話は、特に政府公認というわけではなく、その時代の状況・流れでなとなく3食になってきたという話でした。
では、日本で公に1日3食を推奨しはじめたきっかけは何なのでしょうか?
それは1935年、国立栄養研究所の佐伯矩医学博士が提唱したことに始まります。その理由はつ次の3つだそうです。
- 日本のように資源のない国は人が財産
- 1日に必要なエネルギーは約2600kcal
- そのカロリーを効率よく摂るには3回の食事が最適
これが現在の栄養学の「1日3食は健康の元」という話の根拠だと考えられます。
1つめの人が財産というのは立派な考えでその通りですね。
2番目の必要なカロリー量は色々な職業の人を対象に実際に測定した数字をもとに決められていますが、当時の人と現代人とを同列で比べるのはちょっとフェアではないですね。現代人の多くはもっと少ない消費エネルギーでしょう。
3番目に関しては、当時は栄養価が高い食べ物を簡単に食べられるような時代ではありませんでした。だからそれだけのカロリーを2食だけで摂取するのはかなり大変だという結論になったわけです。
正直なところ生理学的な根拠はありませんが、現状分析として当時はこれで正解だったかもしれません。
しかし、現在の状況は
- 交通機関や家電、IT機器が発達し消費エネルギーが少なくなった
- 栄養価・カロリーの高い食べ物が簡単に手に入る
という当時では考えられなかった状況であることは間違いないでしょう。また、生理学的のも多くのことがわかってきています。
ですから食事回数の推奨値も現在の状況を見据えてもう一度考え直すべきではないかと思います。
もっとも、本来は体の声に耳を傾けて食べたいと思うときに食べるべきであって、1日○回食べなきゃダメ!と決められる方がおかしな話だとは思います。
ただ、炭水化物(糖質)を過剰に食べると、体の声そのものがおかしくなってしまうので注意が必要です。
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