ダイエットではよく1日の食事の回数を増やして食べた方が良いと言われています。その根拠としては、
- 消化・吸収によって代謝があがる(DIT)ので、その回数を増やすと1日のトータルの代謝も上がる
- 1回でたくさん食べると血糖や中性脂肪の量が急激に多くなり余った分は脂肪になるが、小分けに食べると余剰分が少なくなるので脂肪になりにくい
- お腹が空かないので衝動的に何かを食べることが減る、ダイエットのストレスの軽減
といったことが挙げられますが実際のところはどうなのでしょうか?
代謝はドカ食いでも小分けでも変わらない
まず最初の代謝(DIT)が増えるという話に関しては、残念ながら間違いです。
食事を食べると確かに消化・吸収のために代謝が上がりますが、それは食べた量に比例することが分かっています。
つまり5回でも2回でもトータルの食事量が同じなら、トータルのDITもやはり同じになるのです。これは実験で確かめられています。
ですから食事回数を増やしてもトータルの食事量が同じなら代謝が上がるというメリットありません。
空腹の状態をつくらない=脂肪は燃えにくい
次に、余剰の血糖や血中脂肪が少なくなるから太らないという話ですが、これも微妙なところです。
確かに1回の食事を少なくし、その時に体が必要な分だけのエネルギーを摂るようにすれば、余りが無いわけですから脂肪は付きにくくなると考えられます。
しかし、常にエネルギーが補充されるということは、体に蓄えた脂肪は使う必要がないということを意味します。つまり体脂肪が減ることは無いわけです。
理論的には毎回の食事量をそのとき必要なエネルギーより少なめに食べれば、エネルギーが不足するので脂肪も使われるでしょう。
しかし、現実には小分けにして毎回少量の食事というのはなかなか難しく、普通は食べ過ぎになります。頻繁にカロリー計算するのも大変ですよね。
さらに毎回しっかりとした食事を用意するのは大変ですから、何回かはパンやおにぎりなど炭水化物を中心とした手軽に食べられる物になるでしょう。炭水化物を食べるとインスリンが大量に分泌され脂肪の燃焼は抑制され、脂肪を使いにくいモードになっていきます。さらに、起きている間ずっとインスリンの分泌を促されるような状態が続くことになるので、膵臓が疲弊して糖尿病のリスクも高まります。
結論としては、体重をしっかり減らしたい場合は少なくとも炭水化物の摂取量を減らすことも合わせないと効果は望めないでしょう。体重維持という面では適切にカロリー管理をしていれば食事回数を増やして太ることは無いと思いますが、この場合も糖質制限を考慮しないと長期的には糖尿病のリスクが高まるのではないかと思います。
頻繁に食べることが食べたい衝動を増やす!?
最後にメンタル面の話ですが、食べることをガマンしていた状態から少し食べるとドンドンと食べたくなりませんか?
それをガマンして食事量が増えないように調整することになるわけですが、食事回数が増えると、そのガマン回数が増えるわけで、よけいにストレスが増えるように思います。
また、空腹感というのは峠を越えると楽になるので、食事の間隔が空いて空腹になることは実際にはそこまで苦にならないものです。ただし、炭水化物中心の食事だと血糖値の変動が大きく強烈な空腹感に襲われるのでガマンすることが大きなストレスになります。
ですから、食事回数を増やすことは単純にストレスを減らすとは言えないでしょう。また、何を食べるかによって空腹感がかなり変わってくるので、その配慮も必要です。
ということで今までの話をまとめると、単純に間食を増やすなどといったお手軽な感じで食事回数を増やすことはオススメできません。
カロリーや糖質のことも考慮に入れてやるならOKですが、その手間を考えるとメリットはあまりないと思います。
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