部分痩せシリーズの3回目は、脂肪の分解しやすさに関わるα受容体に対する対策について考えてみたいと思います。
その前に、α2受容体について簡単に復習しましょう。
脂肪を分解するためにはアドレナリンやノルアドレナリンというホルモンが必要となり、脂肪にあるそのホルモンを受け取る窓口がアドレナリン受容体。
そのアドレナリン受容体には2種類あって、α受容体(特にα2受容体)は脂肪分解を抑制し、β受容体は脂肪分解を促進。
なので、α2受容体が多い脂肪細胞はせっかくアドレナリンなどが分泌されても脂肪分解に結びつきにくい、つまり脂肪が落ちにくい脂肪細胞となります。受容体の比率は恐らく遺伝的に決まっており、それによって例えば下半身が太りやすい人やそうでない人の差が出てくると考えられます。
α受容体を抑える物質、ヨヒンビン
α2受容体が多いのなら減らせばよいわけですが、物理的に減らすという方法を僕は聞いたことはありません。遺伝子レベルで何かする必要があるのではないかと思います。
その一方でα2受容体の働きを邪魔する物質の存在は確認されています。
それがヨヒンベという植物(ハーブ)に含まれているヨヒンビンという物質です。
これはα2受容体遮断作用があることが知られており、脂肪分解作用の抑制を抑えます(ややこしい表現ですが脂肪が分解されやすくなると考えてもらえばOK)。さらに血流を良くする作用もあると言われており、ガンコな脂肪を持つ人には魅力的ですね。
しかし、これは脂肪細胞にだけ作用すればの話です。
実際には脂肪細胞以外の細胞にあるα2受容体にも作用し、その副作用として、高血圧、頻脈、頭痛、不安、めまい、嘔気、嘔吐、不眠などと関係があると言われています。
ある研究では低用量(10~100μg/kg)のヨヒンビンは、α2受容体を選択的に遮断しますが、高用量(1mg/kg 以上)になると、α2受容体の遮断をしないという報告もあります。
ですので、たくさん摂取すれば痩せやすくなるというものではありません。大量摂取による死亡例もあるようです。
塗れば局所的に効く!?
さきほどのヨヒンビンの話は口から飲んだ場合です。腸で吸収されれば全身に行き渡るので脂肪だけに選択的に働かせることができません。
では、肌から直接吸収させれば?
という発想で作られた製品がいわゆる脂肪燃焼クリームという商品です。
確かに肌から浸透させれば口から摂るよりも、選択的に落とした脂肪にヨヒンビンを届けられそうな気がしますね。
しかし、皮膚と脂肪細胞の間には血管がたくさんあります。ですので脂肪に届く前にその血流に取られてしまい結局全身に回ってしまうというのが普通です。
実際、塗り薬の多くはこの事実を利用して薬剤をダイレクトに血液に送り込みます(口から飲むと必ず肝臓を経由するので肝臓に毒となる場合がある)
一方で、それを避けて特定の組織まで届けることができる特殊な物質は存在し、それを利用した薬も実際にありますがあまり一般的ではないようです。
市販されている脂肪燃焼クリームで皮膚からの浸透を考慮している製品はとても少ないようです。しかしそういった商品でも、脂肪に成分が届くことは間違いないので効果がゼロということはないですが、価格の割には非効率かもしれません。
また勘違いしてはだめですが、塗るだけで脂肪が分解されていくわけではありません。脂肪を分解しやすくするだけです。身体がアドレナリンやノルアオレナリンなどを分泌し、かつエネルギーを必要とする状態にしなければなりません。
で、その状態を作る方法は運動になります。
ですから、やっぱり運動は必要になることを忘れないで下さい。
部分痩せの結論
部分痩せと書きましたが実際には落ちにくい脂肪という意味になります。
その意味での結論としては、食事制限だけのダイエットでは難しいことは間違いありません。
カロリー収支がマイナスになる食事+運動(有酸素運動や低負荷高回数の筋トレ)で血流促進
とするのが基本で、そこに落ちにくい部位の(軽い)マッサージを行いましょう。
もし予算に余裕があり、良さそうなことは何でもやりたい!というのなら脂肪燃焼クリームも試してみるとよいと思います。ただし脂肪燃焼クリームは
- 成分をよく見る(ヨヒンベと書かれている場合は肝心のヨヒンビンが少なく他の成分ばかりという場合もあります)
- 皮膚への浸透について考慮されているか
の2点をよく調べてから購入しましょう。
皮膚への浸透まで考慮されている有名な商品として、リポダーム ウルトラというものがあります。ヨヒンビンが日本の薬事法に引っかかるらしく輸入代行業者から購入するしかないようで値段は高いです。
ですが糖質制限ダイエットを行いながら使用するのがもっとも効果があるそうなので、そのうち試しに使ってみようかなと考えています。僕自身はあまりそういう類の商品を使うのは好きではないのですが効果があれば使わない手はないですからね。
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