昨日、整体の患者さんから
「旦那が最近話題の腹筋マシーンを買ったんだけどどう思いますか?
わたしはやってみてどうも効く感じがしないんですけど・・・」
と相談を受けました。で、今日新聞を見たらそのマシンの広告が載ってました。ワンダーコアという名前の商品のようです。
一応公式サイトを見てどんなものかチェックして見ましたが・・・
結論としてはダイエット目的で買うことはオススメしません。その理由を詳しく見ていきましょう。
3つの秘密を斬る
公式サイトには3つの秘密があると書かれています。順番に見ていきましょう。
秘密その1:デュアルレジスタンスシステム
背もたれがスプリングで支えられているため、腹筋も背筋もどちらも同時に鍛えれるという触れ込みですが・・・
この時点で「はぁ?」ですね・・・
ぱっと聞くと一石二鳥な気がする人がいるかもしれませんが、そんなわけありません。
まず、腹筋するときはスプリングの力で上半身が押し戻されるので、腹筋への刺激は明らかに小さくなります。
多くの研究で筋肥大させるには10回前後できるレベルの負荷をかけることが最も効率がよいですが、ワンダーコアだと逆に不可を小さくする方向に働きます。ただし、10回もできないぐらいとても腹筋が弱い人が最初に取り組むには意味があると思います。
さらに、ワンダーコアを頑張って腹筋が強くなりサポートを弱めたくなったとしましょう。
そのために弱いスプリングに交換する必要がありますが、そうすると背筋の負荷が減ります。この時点で腹筋と背筋を同時にバランス良く強化できないことはあきらかですね。
また、動画を見ていると体を倒すときも腹筋が頑張るような映像になってますが、それもありません。倒すときに頑張るのは背筋だけです。試しにイスの背もたれに背中を押しつけてみてください。腹筋に力は入りませんよね。
何はともあれ、筋肉を増やすトレーニングとしては負荷不足です。
秘密その2:180度フルレンジモーション
公式サイトの図を見ると180度も動いていませんね(笑)
まぁ、水平より倒れることをイメージしやすくするためにそう言っているのでしょう。
言葉の揚げ足とりはこれぐらいにして、この水平より倒れること自体は悪いことではありません。
筋トレの基本は可動域一杯まで動かすことなのでこれは確かに腹直筋をフルレンジで使えそうです。ただ、腰痛がある人は注意してくださいね。かなり腰椎に負荷がかかりますので。あ、そのために補助のスプリングがあるとするなら良心的な製品です。腰痛の人のリハビリマシンとしたら受けるかも(僕は絶対に導入しませんが(笑))
そもそも腰痛がある人はこのような腹筋運動(シットアップ系)は禁忌です。やるとよけいにひどくなることが多いので気をつけましょう。
秘密その3:1台で6種類の腹筋運動ができる
まぁ、その通りですが、そんなに何種類も腹筋運動する必要あるんですかね?
このマシンの大前提をひっくり返すようで申し訳ないのですが、お腹の脂肪を腹筋運動だけでとるには途方もない時間がかかりますよ。
腹筋運動の消費カロリーは?
腹筋運動や背筋運動の運動強度はどれぐらい頑張るかで2.8〜8METsまで幅が広いです。ワンダーコアの場合、サポートがつくのでキツイ労力にはならない気がしますが、百歩譲ってキツイ労力としましょう。そうすると8METsになります。
体重60kgの人が1セット30秒の運動を10セット(トータル5分)やるとした時の消費カロリーは
1.05×8(METs)×60(kg)×(5/60)(時間)=42kcal
です。脂肪1kg落とすには約9000kcal消費する必要がありますから214日かかります。公式サイトのように2週間で変わることはあり得ないです。
「そうはいっても筋肉量が増えて基礎代謝が上がるからもっと短い時間ですむのでは?」
と思うかもしれませんが、基礎代謝に大きな影響を与えるにはkg単位で筋肉を増やす必要があります。ワンダーコアの低負荷でそんなに筋肥大することはありえません。
脂肪を減らすなら一食だけご飯を抜く(約170〜250kcal減)の方がよほど効果的でしょう(笑)お腹の脂肪を減らす最短コースは食事を変えることです。運動だけで脂肪を減らすのは本当に大変です。
割れた腹筋も同じく脂肪を減らすことが先です。体脂肪が15%ぐらいまで落ちれば何もしなくてもうっすら腹筋の割れ目が見えてきますからね。逆に体脂肪がそれ以上あれば、どんなに腹筋を鍛えても見えるようにはなりません。
そうそう、公式サイトには「普通の腹筋と比べて3倍以上のトレーニング効果がある」ことが科学的に証明されたとありますが、トレーニング効果の具体的な内容や数字はまったく書かれていません。これでは信頼しろという方が無理です。
結論
ワンダーコアでお腹を凹ませるのは至難の業。
ただし、腹筋がとても弱い人が導入段階でつかうのはありかもしれない。
コメント
この記事へのコメントはありません。