糖質制限では糖質の摂取量を減らす代わりにタンパク質と脂質の量を増やした食事になります。
前回の記事でも書きましたが、タンパク質は腹持ちが良いのでトータルの食事量を減らせる可能性があります。また大抵は脂肪とセットで摂ることになり早く満腹になるので、増やすと言っても極端な量になることはないと思います。
とはいえ、タンパク質が多い食事が健康にどのような影響を及ぼすのかは気になるところですね。
高タンパク質と腎臓
高タンパク質の食事の話をすると真っ先に言われるのが腎臓への負担です。糖質制限反対派の人が批判するときにもよく出てきますね。
高タンパク食がダメだという話は確かにあるのですがそれは
「何らかの原因で腎機能障害が起こしている人が高タンパク食を食べると、その症状が進行しやすい」
という文献から来ています。
逆に、健康な腎臓を持っている人が高タンパク食を食べることによって腎臓が悪くなるという根拠を示した論文は今のところありません。
ですから厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2010年版」にも、タンパク質摂取量の上限は規定されていませんし、その根拠は次のよう書かれています。
タンパク質の耐容上限量は、タンパク質の過剰摂取により生じる健康被害を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、タンパク質の耐容上限量を策定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした
ただ、今はまだ根拠がないとしても将来はどうなるか分からないという意見もあると思います。
それに対しては、伝統的な食生活をしていた頃のイヌイットに腎臓病が多かったという報告がないことが一つの答えになるのではないかと思います。なぜならイヌイットの伝統的な食生活は生肉や生魚が主食で高タンパク・高脂質食ですからね。
高タンパク質と健康
腎臓は問題無さそうと言うことはわかりましたが、それ以外の面ではどうなのでしょうか?
例えば心臓病については、高タンパク食はトリグリセリド(心臓病のリスク上昇と関連)の血中濃度を下げることが実証されています。高血圧や心臓病のリスクを下げることが示されている研究結果もあります。
また、高タンパク食は骨を弱くすると言われることもあるのですが、実際には骨の生成にタンパク質は欠かせない栄養素で、高タンパク食の方が骨折のリスクが低下するということが分かっています。
このように、タンパク質をたくさん食べることが、腎臓をはじめとする健康に悪影響を及ぼすことは現状は考えられないといえます。
臨床的にも、今まで肉などのタンパク質は太ると思ってほとんど食べていなかった女性が、肉を沢山食べるようにしたらお肌の調子が良くなったという話があります。
このように高タンパク質は健康や体にむしろ良い効果があると考える方が自然です。安心して肉や魚はたくさん食べましょう!
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