先日書いた「カロリー制限はダイエットを失敗させる!?」という記事では、カロリー制限を頑張れば頑張るほど体は省エネになり痩せにくくなるということを書きました。
なぜそうなるかというと、ヒトの体は飢餓状態で生き残るために幾つもの対策を備えているからです。カロリーが不足するとその対策を総動員してなんとしてもエネルギーを温存、つまり代謝を下げるような体にしてしまいます。
飢餓の時に生き残るにはとても大切な能力ですが、ダイエットしたい人にとっては悩ましいことですね。
ここではそのメカニズムをもう少し具体的に見ていきましょう。
代謝を下げるメカニズム
代謝をメカニズムは色々あるのですが、その代表的なものをいくつかをピックアップしてみます。
- 代謝を維持する甲状腺ホルモン「トリヨードチロニン(T3)」の生成を減らす
- レプチン(脂肪から分泌されるホルモン)の濃度が下がる
- 自然な活動レベルが無意識で下がってしまう(これは動物と人間の研究から分かっています)
主に代謝に関わるホルモンの生成量を減らすことによって体は代謝を押さえようとします。また、無意識で活動レベルを下げるというのも面白いですが確かにありえそうです。
また、カロリー制限というと真っ先に脂質の量を減らすことを考える人が多いと思います。ところが脂質はホルモンの材料になりますから、不足するとホルモン生成量の減少をさらに悪化させる可能性もありますね。よくある話としては男性ホルモンの生成量がさがって性欲が落ちるというのがあります。
栄養不足の影響
先ほど書いたのは低カロリーに対する体の自発的な対応ですが、それとは別で心配になるのが必須栄養素の不足です。必須栄養素というのは体内で合成できず食べ物から摂るしかない栄養素のことで、必須アミノ酸は必須脂肪酸、ビタミン類などがあります。
こういった栄養素には筋肉の合成や食べ物をエネルギーに変える作用と関係するものもあり、カロリー制限をするとこういった栄養素が十分に摂取できない可能性が高くなり、それも代謝を失速させる可能性があります。
このことに関する研究結果としては次のようなものがあります。
対象:役100人の太りすぎの女性
内容:マルチビタミンとミネラルだけを与えられた群と栄養補助剤を与えられた群
期間:6ヶ月
結果:栄養補助剤を与えられた群はそうでない群よりも大幅に体脂肪・体重がさがり代謝率も高かったLi Y.,et al.,Effects of multivitamin and mineral supplementation on adiposity, energy expenditure and lipid profiles in obese women, Int J Obes,2010,34
カロリー制限には一工夫が必要
このように単純にカロリー制限を長期間行うと、ガマンして頑張っているのに体はドンドン痩せにくくなるという残念な状態になってしまいます。さらに、必須栄養素不足になる可能性も高いので健康にもよいとは言えません。
しかし、カロリーを減らしちゃだめと言われたら「どうやって痩せれば良いの?」となってしまいますよね。
実はここまで書いてきたことは全て「長期間のカロリー制限」ということと「栄養バランスについては触れていない」という点に注意してください。
カロリー制限しても痩せにくい体にならないためのポイントは期間と栄養素のバランスです。
そのあたりについて次回から書いていきたいと思います。これがわかると効果的なダイエットの戦略を立てることができるようになりますよ、きっとね(笑)
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