糖質制限ではインスリンの過剰な分泌が肥満の元凶とされています。しかし、糖質制限反対派の人の中には、タンパク質だってインスリンを分泌するという方もいます。これが事実だとすると「タンパク質を沢山食べてもやっぱり太るのでは」という話になってしまいそうですね。
本当のところはどうなのでしょう?
タンパク質でインスリンが分泌される
まず、答えから書くとタンパク質を摂るとインスリンが分泌されることは間違いありません。
ところが、タンパク質を摂るともう一つ、グルカゴンというホルモンも分泌されます。このグルカゴンにはなんと脂肪分解を促進する作用があります。さらに、体細胞への糖の取り込みも促しません(インスリンは体細胞の糖の取り込みを促します)これは体細胞が脂肪をため込むかどうかに影響します。
つまり、タンパク質を摂るとインスリンは分泌されるのですが、同時に分泌されるグルカゴンがインスリンの働きをある程度抑えてくれることになります。
また、糖質制限をしてるという条件であれば、そもそも脂肪に変換される血糖の量がそんなに多くないはずです。
このように単純に糖質を食べたときと同じようなことが起こるわけではないのですね。インスリンの分泌だけを取り上げて糖質制限を批判するのは的外れだといえます。
タンパク質は食欲を抑える
ある程度インスリンの働きが抑えられるとは言え、たくさん食べればそれだけインスリンの影響も大きくなる不安があります。
ところが、タンパク質は糖質とは大きく異なる特徴があります。それは食欲を満足させやすいということです。
たとえば、うどんやパスタなどの麺類を食べるとすぐに空腹感を感じることは誰でも経験していると思います。一方で焼き肉をお腹いっぱいに食べたら、そんなにすぐに空腹にはならないことも経験していると思います。中には胃がもたれてしんどくなるという人もいるかもしれません。そうなるとしばらくは食べられませんよね(笑)
ある研究によると同じカロリーの場合、栄養素によって食欲の満足度に差があることが示されており、同じ重量なら食欲を抑えるのにもっとも効果的な栄養素はタンパク質だという結果がでていますが、これは上の例のように実体験で考えても妥当な結果のように感じられます。
この事実は、タンパク質を沢山食べることが食欲を抑えるのでトータルの食事量も減るということにつながります。
2011年に発表された食事と肥満に関する報告では、アメリカではこの30〜40年で食事量が徐々に増えそれに伴って肥満が増大していることが示されています。さらに興味深いことに、その食事量の増加は炭水化物の増加によって増えているのです。また、このデータからは食べるタンパク質の量が多ければ多いほど食べる総量が少ないということも示されています。
その理由はタンパク質をたくさん食べて満腹感が高いからと言いたいところですが、タンパク質の多い食事は一般的に高額になるので、そのために単純に食事量が減ってしまっている可能性もあるような気もします。
理由はともあれ、タンパク質を多く食べた方が結果として食事総量が減るというのは面白い話ですね。
このように、タンパク質は食べ過ぎれば太ることになるのは間違いありませんが、ホルモン的にも満腹感という意味でも太りにくい栄養素を言えるのではないでしょうか?
ダイエットの時は安心してパクパク食べましょう。
ただ、太りにくいのは良いとして健康面ではどうなるのかも気になりますね。それは次回に!
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