今回は理想の体重シリーズの最後として、体重よりも有益な指標をお話ししたいと思います。
体脂肪率が大切
まず、健康や体型に最も影響を与えるのは体に占める体脂肪の割合です。
たとえば、心血管疾患などはBMIより体脂肪率の方がリスク予測確率が2倍高いことが分かっていますし、特に腹部深部の体脂肪率は健康や寿命をさらに正確に予測することができると言われています。
このようにキーとなる指標は体脂肪になるのですが、これを手軽に精度よく推定できる方法を僕たちは欲しいわけですね。手軽と言うのも重要なポイントです。手間がかかる方法だったら日々チェックするなんてことができませんからね。
で、このシリーズでずっと紹介してきたBMIや体重は、手軽さという意味では優秀です。しかし、これだけでは実際の体脂肪率はハッキリ分かりません。標準に近い体型の人ならばそこそこ当てになるというレベルです。
前回書いたような太った細い人はBMIや体重ではわかりません。
体脂肪計が理想だが・・・
現在は、体重計とセットになった体脂肪計が比較的低価格で販売されています。これは体に電流を流しその電気抵抗から脂肪や筋肉の比率を推定します。
これならば直接体脂肪が測定できるので理想的といいたいとことですが・・・、残念ながらこういった体脂肪計では精度よく測ることができません。研究現場ではこういうタイプの体脂肪計で測定することはあまりないです。
その理由の一つは体内の水分量の影響を受けやすいということ。体内の水分量は一日の間でも食事や運動、環境温度などで簡単に変動してしまいます。ちなみに水分量が多い方が脂肪が少ないと判断されます。ですので前日からしっかり水分をとっておけば本来より少ない体脂肪率がでる可能性が高くなります。
もう一つの理由は、いわゆる平均的な体型をベースにして体脂肪率を推定するという点にあります。これまた平均的な体型から離れるほど出てくる体脂肪率の誤差が大きくなります。体脂肪計では一般とアスリートという2つのモードが選べる製品もあるのですが、それで体脂肪を測定すると僕の場合は一般だと13%ぐらい、アスリートだと8%ぐらいになります。これでは1.5倍ぐらい違いが出るのでどちらを信用したらよいか分かりませんよね。
市販の体脂肪計はその数字に一喜一憂するのではなく、毎日できるだけ同じ時間に継続して測定して、長期的・相対的に見るという使い方になると思います。
もっとお手軽な方法、それは・・・
体重計もダメ、体脂肪計もダメとなるとどうすればよいのか?その答えは意外とアナログな方法になります。
それはウェストとヒップの比率です。メジャーで実際に測定すればOK。毎回測定する位置さえ決めておけばそれほど手間もかかりません。
本当に当てになるのかと思う人もいるかもしれませんが、ウェストとヒップの比率は心臓病とガンの危険性をBMIより正確に予測できるという研究報告がありますし、女性のプロポーションもBMIよりはるかに正確に割り出すことができます。
さらに、身長やヒップのサイズを無視してウェスト回りのサイズだけみた場合でも、2型糖尿病や心臓病をBMIより正確に予測できるという研究結果があります。だからメタボ健診の基準としてウェストサイズを測るのもそれほどいい加減というわけではないようです。
ちなみに日本のメタボ基準では
ウエスト周囲径 男性 85cm以上・女性 90cm以上
となっていますが、これだと大抵はポッコリお腹です。
ウェストのサイズはさまざまなデータがありますし、身長による差がでてくるので一概には言えません。僕の経験ではものすごく大雑把にいうと男性なら80cm以下、女性なら70cm以下ぐらいになるとポッコリお腹はあまり気にならなくるかなと感じています。さらに引き締まったウェストを目指すならこの数字マイナス10cmぐらいをめざすとよいかなと思います。
体重にこだわるより、体脂肪率やウェストサイズにもっとこだわりましょう!
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