前回に引き続き、理想体重はいくつなのかということを考えていきたいと思います。
前回は色々あって今はBMIがもっとも標準的な指標として使われるようになったという話で終わりました。
BMIにケチを付けるのは次回にして(笑)今回はなぜBMIがこれほど普及するようになったのかを見てみましょう。
BMIが低い=健康
「看護師健康調査」という30〜35歳までの女性を10万人以上(!)20年に渡って追跡調査したものがあります。この調査では主な病気と死亡例、そしてBMIとの関連が調べられています。
それによると1995年の死亡記録は約5000件、年齢要因を除外して分析すると、死亡リスクは次に様な関係になったそうです。
BMI | 相対的な死亡リスク |
〜19 | 1.0 |
19〜21.9 | 1.2 |
22.0〜24.9 | 1.2 |
25.0〜26.9 | 1.3 |
27.0〜28.9 | 1.6 |
29.0〜31.9 | 2.1 |
32〜 | 2.2 |
この表の死亡リスクはガンや心臓病などあらゆる原因による死亡に対するものです。BMIが大きくなるほどリスクが跳ね上がることが分かりますね。
また、2001年には、男女混合の集団を10年間調査していた研究グループが、BMIが高い方が一般的な慢性疾患にかかるリスクが高くなると発表しています。この研究論文によると、「健康的」と言われる体重の範囲内でも上半分(BMIが22〜24.9)に相当する成人ではリスクが顕著に高くなると報告されています。
これらの報告はアメリカでの話ですが、他の国々や民族でも同じような傾向が見られます。
オーストラリア先住民のアボリジニを対象とした糖尿病の調査では、BMIが22以上の人はそれ以下の人に比べて糖尿病になる率が4倍にもなることがわかったそうです。さらに、いわゆる「標準体重」の上半分にあたるBMI22〜24.9の部分だけみても3倍近くになったそうです。
また、この研究結果からBMIが22を越えないように気をつければ糖尿病の約半分は防ぐことができると計算できることも報告されています。
最適なBMIは?
こういった研究をまとめると、女性では19以下、男性はそれより少しだけ高い値(20前後)が最も健康で長生き出来るということになります。
このように大規模な研究調査ではBMIと死亡リスクのよい相関関係がみられることは確かです。また、BMIの計算はとてもシンプルですから広く使われるようになった理由も理解できますね。
しかし、次回に詳しく書きますがBMIの計算そのものは体型を正しく表しているとは言えない面があり、平均ど真ん中な体型の人にはよくあてはまりますが、そこから外れると全く当てにならない数字になります。
そのことを踏まえた上でBMIと健康のリスクや体型について考える必要があるということを頭に入れておきましょう。
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