脂肪を減らすための原則は摂取エネルギー < 消費エネルギーとなる状態をつくりだすことになりますが、それには生活習慣を変えるという努力と苦痛が伴います。また、時間もかかります。
実は「楽に短時間で脂肪を減らしたい・・・」という夢を叶える方法があるにはあります。
それが外科的な手法です。
昔は切開して脂肪を切り取る脂肪切除が一般的でしたが、今は脂肪吸引とよばれる方法が主となっています。
脂肪吸引とは?
脂肪を減らしたい場所に管を差し込んで、掃除機のように吸い取るという方法です。
ただし脂肪細胞は皮膚や筋肉など他の細胞ともくっついていますから、強引に吸い取るだけの方法(WET法)では皮膚の凸凹ができたり神経を傷つけたりと色々な問題がおこりやすいです。
現在では、超音波やレーザーを使って脂肪細胞を軟らかく(破壊)して吸引するという方法が主流で、先ほど書いたような問題が出にくくなっています。狙った場所の脂肪の除去も70〜90%程度可能だといわれてます。
脂肪吸引のメリットは、希望の場所の脂肪を短時間で減らすことができることです。寝ているだけで済みますし、手術跡も目立ちません。
一方、直接的なデメリットとしては、管を挿入したり吸引する際に組織を破壊するということです。
感染症や出血、他の臓器の損傷(お腹を吸引するときに腹膜という内臓を覆う膜を傷つけた場合、死亡に至る場合もある)、吸引したときに発生した小さな脂肪の塊が血管をつまらせる脂肪塞栓症といった危険があります。
とはいえ、こういった問題が多いと脂肪吸引は規制されるはずですから、実際にはこのような症状が出る確率は低いと考えられます。
脂肪吸引後はどうなる??
このように脂肪吸引では確かに短時間で脂肪が減ってスリムにはなりますし、施術自体もそれほど危険ではないと思います。
しかしですね・・・よく考えて欲しいのは、太ってしまった原因が何も解決されていないということです。その原因が解決しなければ、体は再び脂肪をため込もうとするのは明らかですよね。
では、余った脂肪の行き先はというと、脂肪細胞が除去されていない場所、つまり他の場所の皮下脂肪・内臓脂肪・異所性脂肪になります。
異所性脂肪というのは、脂肪細胞ではない組織にたまる脂肪で体には基本的によくない影響をおよぼします。
別の場所の脂肪が増える例として、男性が腹部の脂肪を吸引すると乳房が肥大するという問題がでることがあります。女性の場合はもしそうなっても豊胸になるので良いかもしれませんが、脂肪の行き先を思ったようにコントロールはできませんから二の腕にたくさん貯まることになるかもしれません。
また前にも書きましたが、脂肪細胞は成人後も増殖することが分かっています。脂肪吸引後も脂肪細胞がゼロになるわけではないですから長期的には再び増える可能性も否定できません。
さらに脂肪細胞は体にとって大切なホルモンなどの生理活性物質を分泌する器官でもあります。むやみに切除するとホルモンバランスの崩れなど様々な問題が生じる可能性も否定できません。医学的にも、肥満に伴う病気の改善には全くならないことが知られています。
結論としては、純粋に美容目的でやるものであって、健康的に問題がある人はやるべきではないでしょう。
ただし、美容目的といっても、美容整形と一緒で一旦こういうことに手を出すと「後もう少し・・・」といってドンドンとエスカレートしていく人が多いです。
ですので、僕は基本的にオススメはしません。生活習慣を変えれば痩せるだけでなく健康で活発になれるのですから、そちらのルートをイチオシです。
短期的な成果を求める前によ〜く考えてみてくださいね。
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