皮下脂肪や内臓脂肪となる白色脂肪細胞(以下脂肪細胞と略します)は乳幼児期や思春期によく増えることがわかっており、二十歳前後の成人でその数は約400億個になると言われています。
今までは、この限られた時期しか脂肪細胞は増えず、その時の数が生涯の脂肪細胞の数になると考えられていました。しかし、これは本当なのでしょうか?
脂肪細胞の脂肪吸収量の限界は?
脂肪細胞の直径は標準体重の成人で70〜90μmの大きさになります。そして脂肪を取り込むとドンドンと直径が大きくなるわけですが、脂肪細胞の数が一定だとすると、肥満の人の脂肪細胞はそうでない人と比べて何倍も大きいことになりそうです。
ところが色々な観察結果から、どんなに肥満の人であっても脂肪細胞の直径は約130μm以上は大きくならないことが確認されています。これは直径で1.3倍、体積では3.3倍までしか大きくならないと言えます。
そうすると、もし脂肪細胞が増えないとすると、上限まで脂肪をため込んでも軽度の肥満(BMI約27程度)レベルまでしか太れない計算になります。
つまり、それ以上の肥満の場合は脂肪細胞が増えていると考えざるをえないわけです。
増殖する脂肪細胞
実際に脂肪細胞が増加することは電子顕微鏡で観察もされており確定的となっています。またそれともとに人の肥満を3つのステージに分けて説明することができます。
太ってくると、最初は成人までに獲得した脂肪細胞にドンドンと蓄えられていく(肥大優性型)
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BMI30を越えるぐらい(個人差が大きい)から脂肪細胞の肥大と同時に脂肪細胞の増殖も始まる(肥大・増殖型)
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BMI40ぐらいなると、脂肪の肥大も限界近くになり、脂肪細胞の増殖が活発になる(増殖優性型)
そして、新しくできた脂肪細胞に脂肪が蓄えられ(肥大優性型)それが進行すれば再び同じステップで脂肪細胞が増えていきます。
そうして、上限なく肥満が進行していくことになるわけです。
言い換えれば、人の体はあればあるだけエネルギーを保存しておくように働くということですね。体の仕組み上、食べれば食べるほど太るのは避けられないことです。
食べ物が溢れている現代では、それをコントロールするには強い意志をもつしかありませんね・・・
ダイエットしたら脂肪細胞はどうなる?
今まで増える話ばかりでしたが、逆に脂肪が減った場合脂肪細胞はどうなるのでしょうか?
蓄えた脂肪を放出したら脂肪細胞も死んで無くなってくれるのなら嬉しいところです。
しかし、実際にはなくならず脂肪細胞の一つ前の段階の前駆細胞という状態に戻ります。そして再びエネルギーが余り、脂肪をため込む必要が出てくるともとの脂肪細胞にもどります。
ですのでダイエットしたからといって脂肪細胞の数が減ったわけではなく、大きさが小さくなっただけ。太ったときの状態に戻る能力はしっかりと残っているといえます。脂肪細胞の寿命は約10年なので、痩せた状態を10年間キープすれば、脂肪細胞の数も減ってくれるかもしれません。
ちなみに軽度の痩せ型の人(BMI17〜18)の脂肪細胞は、直径30μmのものが8割を占めるそうです。このことから本来の脂肪細胞の大きさは30μmであり、一般的だといわれている70〜90μmというサイズでさえすでに肥大していると言えそうです。
これも怖い現実ですね。
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