最近、色々なダイエットジムの広告を見ると「2ヶ月で脂肪を減らし筋肉を付けましょう!」というコースが多いです。しかし、多くの研究や経験から今までトレーニング経験のない人が2ヶ月で目に見えるほど筋肉量を増やすことは難しいことが示されています。
では、先ほど書いた2ヶ月で肉体改造したというのはウソなのでしょうか?今回はそのあたりのことを考えてみたいと思います。
筋力と筋肉量の関係
一般的には筋肉の断面積、つまり太さと筋力は比例します。太ければ太いほど力がでるわけですね。
一方で、筋トレを始めた直後は特に初心者の場合、ドンドン上げられる重さが増えていきます。単純に考えると
上げられる重さが増える=筋力が増える=筋肉が太くなる
となり、短期間で筋肉が太くなるように思います。
しかし、実はそうではありません。筋力に太さ以外にもう一つ大きな要因があります。
筋肉というのは顕微鏡を使わないと見えない細い筋肉繊維が束になった構造になっています。そして、一本一本の筋肉繊維はオンとオフしかできません。つまり力の調整はできないのです。縮むときはいつも全力で縮みます。
では、どうやって力を調整しているかというと、縮む筋肉繊維の数で調整をしています。たくさんの筋肉繊維が一度に収縮すれば大きな力が出るわけですね。
それをコントロールするのが筋肉につながっている運動神経です。
普段、あまり運動しないと筋肉を全力で使うことがありません。そうすると運動神経も全ての筋繊維に「動け!」と指令を出す能力が下がってきて、一部の筋繊維しか使えなくなってきます。自分のもつ筋力を100%発揮できない状態になるわけですね。
神経→筋肉の順で発達する
結論から書くと、筋トレをするとまずは運動神経が先に発達し、同じ筋肉量でもより多くの筋肉繊維が収縮できるようになってきます。そして結果的に上げられるウェイトの重さが増えていきます。
これがトレーニングを初めてすぐに筋力がドンドン増えていく秘密で、約1ヶ月程度はこちらの変化がメインとなります。
神経が全ての筋繊維に信号を送れるようになると、その時の筋繊維の量で上げられる上限に達します。ですので、そこからやっと筋肉が太くなるというイメージをもってください(実際には神経と筋繊維の発達がこのようにキレイに分かれるわけではありません)
そうなるには約2ヶ月かかります。ですから筋肥大が始まって太さが変わってきたなと実感できるのは2~3ヶ月後からになります。そもそも筋肉繊維を増やすということは、無いものを作り出すことになります。だからそんなにすぐに発達するものではないのです。
逆に、脂肪は現存する脂肪細胞に脂肪を溜め込むだけなので、筋肉よりはるかに早く大きくなれます。そして脂肪細胞の吸収量の限界に達してしまうと、新しい脂肪細胞が作られます。
すぐに筋肉が付く理由
これまでの説明で、すぐに筋肉は太くならないということは理解できたと思います。では冒頭で述べた2ヶ月でムキムキになっているお兄さんの写真はウソなのでしょうか?
実は、これはウソとは言い切れません。理由は2つ。
1つめは、「太っている人はその重い体重を支えるためにそれなりの筋肉量をもっている」ということです。その筋肉をできるだけ維持して脂肪をカットしていくと細マッチョになりやすいです。
そしてもう一つはマッスルメモリーという効果です。これは一度筋肉を発達させておくと、細くなってもトレーニングを再開すれば早くもとの太さまでもどるという効果です。
ですので、
若い頃スポーツをやっていてい筋肉モリモリ、ところが社会人になってから運動不足と過食でプヨプヨになった・・・
とう人は短期間でマッチョになりやすいのです。これが2ヶ月で劇的な変化をした人の秘密です。
ですので、特に男性で上記のことに当てはまる人は短期間であっと言わせる体になれるポテンシャルをもっていると言えます。
一方で、運動経験ゼロで昔から筋肉が少なかく、かつ中途半端な肥満レベル(お腹だけポコンとでている)の場合、時間をかけてじっくり取り組む必要があります。
宣伝広告を見たときに、短期間であなたがそういう体になれるかどうかは、若い頃の運動経験や体格を思いだして冷静に判断するようにしたいものです。
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