前回は、筋肉量の増加による基礎代謝が実はあまり多くないという記事を書きました。
ただ、例えそうだとしても運動後しばらくは代謝が高い状態が続くので、やはりダイエットに効果があるという話があります。
これは、運動後過剰酸素消費量(EPOC)というものの研究結果から言われていることですが、その効果は実際のところ賛否両論あるようです。
EPOCとはなに?
運動後過剰酸素消費量と言われてもなんだかよくわかりませんね。ものすごーく大ざっぱに説明すると、
運動をする
↓
全身の筋肉に酸素を送るため酸素摂取量が増加
↓
運動後数時間はこの酸素摂取量がやや高い状態が持続する
この運動後も酸素消費量が高い状態のことをEPOCと呼びます。
運動後どのぐらいの時間EPOCが続くのか、またどれぐらいのエネルギー消費になるのかについては、筋トレや有酸素運動など運動の種類・強度によって変わってくるようで、いろいろな研究結果があり決着はまだついていないようです。
で、酸素摂取量が多いということは何を意味するかというと、ずばり、「体のエネルギー消費が多い」ということになります。
これを単純に解釈すると、
酸素摂取量が高い=体のエネルギー消費が多い=脂肪が燃えつづけてている
と言いたくなってしまうわけですね、フィットネス業界・ダイエット業界の人々は・・・
EPOCでは本当に脂肪が燃えているのか?
筋肉が力を出すためには酸素が必要なのですが、その供給が追いつかないぐらい運動が激しい場合、緊急事態ということで別のシステム(解糖系)で筋肉を動かします(このシステムは乳酸という物資を発生させます。)
酸素が不足する分を前借りするというイメージですね。ただ、前借りにも限界があり、それが限界を超えると筋肉は動けなくなります。これが「疲れた」という状態です。
当然ですが借りたものは返す必要があります。そうしないと筋肉が疲労したままでいつまでたっても動けませんからね。
だから運動後に借金返済のためにせっせと働く、その状態がEPOCというわけです。
で、ここでいう借金返済は、運動中に生じた乳酸を分解したり、消耗したクレアチンリン酸というエネルギー源にある物質を再合成したりすることであり、決して体脂肪をたくさん消費するというわけではありません。
特に乳酸というのは酸化系(酸素を必要とする反応)のエネルギー源となるので、余分な乳酸を消費するためにはたくさんの酸素が必要です。そして、EPOCの多くはこの反応である可能性が高いです。
というのも、低強度の運動(乳酸の発生が少ない)よりも高強度の運動(乳酸の発生が多い)の方がEPOCが高いからです。
このように、運動後は確かに酸素摂取量があがりますが、それは脂肪を消費しているとは考えにくいということがわかると思います。
ただ運動後の疲労・傷付いたからだの回復には当然エネルギーが必要なわけで、何もしないよりはエネルギー消費は上がると思います。ただ、このことに言及した研究を僕は聞いたことがないのでどれぐらいの効果があるのかはわかりません。
まとめると、運動の効果は間違いなくありますが、過大評価することはダイエットに挫折する原因となります。特に運動したから食べても大丈夫とは絶対に考えてはいけないと肝に銘じておいてください。
コメント
この記事へのコメントはありません。