ダイエットで運動を勧める人の多くは、「筋肉を付けることで基礎代謝の高い体をつくりましょう!」と言います。
そして、多くの人はこのことを何の疑いもなく信じています。今回はこの話が本当かどうかについて考えたいと思います。
基礎代謝と筋肉の割合
筋肉量が増えることで基礎代謝にどれぐらい影響があるかをしるためには、まずは基礎代謝の内訳を知らなければなりません。ところが・・・
ネットで少し調べると色んな数字が出てきます。
たとえば、体重計のタニタさんが運営しているからだカルテというサイトでは
- 脳 20%
- 肝臓・腎臓・心臓 40%前後
- 筋肉 25~40%
となっています。一方でたまたま見つけたナオルコムというサイトでは
- 筋肉:53.3%
- 肝臓:23.3%
- 脳:13.3%
- 心臓:3.3%
- その他:6.8%
なんてものもあります。筋肉だけみるとタニタさんの最低値と倍ぐらい差がありますね。タニタさんの値がなぜあれだけ幅広くとっているかも気になりますが、ムキムキの人とそうでない人ってことですかね?
いずれにせよ根拠がよくわからないので、研究論文でよく引用される数値を調べてみると、
Gallagher D, et al. Organ-tissue mass measurement allows modeling of REE and metabolically active tissue mass. Am J Physiol Endocrinol Metab 275: E249-E258, 1998.
という文献に出ている数字が国際的によく引用されているようです。小数点以下を四捨五入すると
- 骨格筋:22%
- 脂肪組織:4%
- 肝臓:21%
- 脳:20%
- 心臓:9%
- 腎臓:8%
- その他:17%
となります。ちなみにこれは白人男性の標準値だそうで日本人ではありませんが、まぁ同じ人間ですしそれほど大きな差は無いと思います。
これが概ね正しいとすると、基礎代謝にうち脳も含めれば内臓で約60%になり、逆に筋肉の貢献度は22%程度しかありません。
筋肉が1日消費されるカロリーはこんなに少ない
さらに、先ほどの文献によると筋肉1kgあたり1日に消費するカロリーはたったの13kcalです。
一方で、個人差はありますが普通の人が1日に増やせる筋肉の目安は7gと言われています。1kgの筋肉を増やすためには142日(4ヶ月半)かかる計算になりますね。それだけ頑張って増える基礎代謝13kcalです。1年でも2.6kg程度ですから33.8kcalです。なかなか絶望的な数字ですね(笑)
これはボディビルダーの方を考えるとイメージがつくと思います。
彼らはあれだけ筋肉隆々なのに脂肪を落とすのにとても苦労しているのです。もし筋肉量が多いほど代謝も上がって脂肪を使ってくれるという単純な話なら、ボディビルダーはダイエットなんか考える必要ありませんよね。
ですので、基礎代謝を上げることと筋肉量を増やすことを単純に結びつけるのは間違いです。基礎代謝自体は増えると思いますが、それだけで痩せていくほど甘くはありません。
では筋トレをしたり運動をすることは無意味なのかというとそんなことはありません。
筋トレをすると成長ホルモンの分泌などが起こり脂肪を使う方向に体が向かいます。ですから食事だけよりもやった方がよいことは間違いありません。
また、ダイエットの一番の目標は体型を変えることだと思います。姿勢や体のラインを決めるのは脂肪と筋肉ですから筋肉はやはり鍛えておく必要があります。
まぁ、ガリガリでも良いという人は運動は無しでもよいですけどね・・・
コメント
この記事へのコメントはありません。