今までは、ホメオスタシスやホルモンといった生理学的な視点からリバウンドの原因について見てきました。
今回はリバウンドをくり返すと体がどうなるかみていきましょう。そのためには筋肉と脂肪の性質の違いを知る必要があります。
筋肉と脂肪の不公平な関係
基本的には減量期には脂肪と筋肉の両方が落ちていきます。なぜ両方とも落ちるかですが、それはそれぞれの役割を考えると理解できます。ものすご〜く大雑把に言うと
- 脂肪→エネルギーを蓄える
- 筋肉→エネルギーを消費する
という役割を担っています。
ダイエット中は食事量が減ってエネルギー収支がマイナスになっているので、体としてはできるだけエネルギーを温存したくなります。そうすると、エネルギー消費の大きい筋肉を減らそうとするのは合理的な判断ですね。
さらに、筋肉(タンパク質)はブドウ糖に分解してエネルギー源としても使えます。
そうすると、筋肉を落とすことによって脂肪は温存できるしエネルギー消費量も減りますから一石二鳥でエネルギーを節約できます。これは飢餓状態でも生き延びるための体の仕組みです。
逆に増量したいとき(ダイエットしたい人にとっては理解できないかもしれませんがそういうニーズもあります)は、
- 脂肪→エネルギーの余剰さえがあればどんどん増えていく
- 筋肉→エネルギーの余剰+使う必要性がないと増えない(=運動が必要)
という関係になっており、脂肪は簡単に増えるけど筋肉はなかなか増えないようになっています。
ものすごく不公平な話ですが、この現実があるので太った人は多くマッチョな人は少ないという人口構成になるわけです。
この関係を頭に入れてダイエットの時のことを考えていいきましょう。
体重だけ見ていては危険!
ここでは、多くの人が取り組むカロリー制限のみのダイエットを考えます。
ダイエットをスタートすると食事制限だけのダイエットでは脂肪も筋肉も順調に減っていきます。そして停滞期をむかえ、諦めて食べ始めると・・・
当然体重は元に戻っていきます。しかし、そのとき増えていくのは先ほど述べた理由から脂肪になります。筋肉は運動による刺激を加えない限り増えないからです。
そうすると、同じ体重に戻っても前よりも脂肪が多いからだになります。筋肉量は減っているので基礎代謝も下がりますし、体も重く感じ(筋力も当然落ちますからね)動くのもイヤになります。
つまり、前よりも太りやすい状態になってしまうといことです。
そして、こういうダイエットを繰り替えすと、どんどん筋肉が落ち脂肪ばかり増えていく悪循環にはまっていきます。
こうなると理想の体型どころではありませんね。
ダイエットでは筋肉量を維持するという視点がとても大切、というか必須です。だからリバウンドを防ぐだけでなく、健康的に体型を変えるためにも運動を組み合わせることが必須です。食事だけのダイエットをくり返していると徐々に痩せにくくなっていきますよ。
対策はタンパク質をとることと筋トレ!
こうならないためにもダイエット中は以下の2つのことに気をつける必要があります。
- タンパク質を十分に摂る
- 運動をしっかりする
まず、タンパク質の件ですが、タンパク質を摂ると血液中のアミノ酸(タンパク質を分解したもの)濃度があがります。そうすると体は筋肉のタンパク質を分解するよりも、食べ物由来のアミノ酸をエネルギー源として優先的に使います。結果として筋肉の分解が押さえらる可能性が高くなります(厳密にはこの状態でも筋肉の分解は進みます)
運動のほうについては先ほども書きましたが、筋肉に刺激を加えると筋肉は維持・肥大しようとします(※肥大には十分なエネルギーも必要)。だから運動は欠かせません。そして、筋肉量を維持するという観点からは筋トレ(それも高強度)がもっとも効率がよいです。筋肉は使う必要があれば維持・肥大しようとしますからね。
ちなみにダイエットの運動というと有酸素運動というイメージが強いです。確かに有酸素運動は脂肪を使いますが、筋肉への刺激が少ないのでよほどの運動不足な人を除いては筋肉が増えることはありません。さらに筋肉がある人の場合は筋肉量が減る方向に働きます。
もちろん有酸素運動が好きならドンドンやってもらって良いですが、ダイエットのため運動を選らぶというなら筋トレで筋肉維持を意識することの方が大切だと思います。
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