Yahooでこんなニュースを見かけました。
太っていなくても生活習慣病…「やせメタボ」の人、筋肉に特徴 (読売新聞(ヨミドクター)) – Yahoo!ニュース
生活習慣病というと太っているというイメージが強いですが、日本では太っていないのに糖尿病などの生活習慣病になる方がそれなりの数いらっしゃいます。この記事では「やせメタボ」と呼んでいますが、いったい何故そういうことが起こるのか?
それは筋肉が鍵を握っています。
筋肉が糖をうまく取り込めない?
この記事では次のように書かれています。
太っていなくても生活習慣病になりやすい「やせメタボ」の人は、筋肉でインスリンがうまく作用せず、糖を取り込みにくい体質であるとの研究結果を、順天堂大学の田村好史准教授(代謝内分泌内科学)らが米医学誌に発表した。
ここではさらっと「筋肉でインスリンがうまく作用せず・・・」と書かれていますが、これをもう少し詳しくみてみましょう。
通常は炭水化物を食べると消化されブドウ糖となり血液中に吸収されます。そうして血糖値が上がりますが運動をしている場合は筋肉が積極的にそのブドウ糖を消費してくれます。
一方で、安静にしているとブドウ糖が余って高血糖になります。高血糖は血管にダメージを与えるのでそれを下げるためにインスリンが分泌されます。インスリンが筋肉に働くと運動をしていなくても糖質を取り込んでグリコーゲンとよばれる形で保存するように働きかけます。
つまり筋肉はブドウ糖の消費と貯蔵のどちらも行ってくれるとても便利な組織なんですね。
ところが、ある条件では筋肉のインスリンに対する感度が低くなり、ブドウ糖を取り込もうとする作用が弱くなります。これをインスリン抵抗性が上がると呼ぶのですが、そうなると大量のインスリンを分泌しなければならなくなります。
そのようになる条件とは、一般的には体脂肪が多いことです。体脂肪が多い、つまり肥満になると筋肉のインスリン抵抗性が上がり血糖値を下げるために筋肉を利用しずらくなってしまうのですね。これは肥満になると糖尿病などになりやすい原因の一つです。
本当に肥満ではないのか?
今回発表された研究では体脂肪が少なくてもそうなるという話で次のように書かれています。
肥満ではない人(体格指数BMIが23以上25未満)でも、血圧、血糖、脂質に一つでも異常があると、筋肉への糖の取り込みが低いことが分かった。
これだけ読むと新発見のように書かれていますが・・・果たしてここで挙げられている人達が本当に「肥満でない人」と呼べるのかが気になりました。
元の論文を見ていないので間違えた指摘かも知れませんが、体型を表す指標として体脂肪率ではなくBMIが使われています。BMIというのは筋肉が多くて重い人も脂肪が多くて重い人も同じ数字になってしまいます。ですからBMIが23〜25といっても、実は筋肉が非常に少なくい人達の可能性が高いです。
先ほど体脂肪が多いと筋肉のインスリン抵抗性が上がると書きましたが、僕はこれは体脂肪の量というよりは体脂肪と筋肉の比率が効いてくるのではないかと考えています(証拠はないのであくまで仮定です)。そしてそれはBMIでは分からないんですよね。
見た目が肥満に見えなくても筋肉は少なく脂肪がかなり多いというのは十分にあり得る状況だと思います。ですから肥満じゃないけどインスリン抵抗性が高いのではなく、筋肉と脂肪の比率という面で見たら肥満と考えられる人たちなだけではないかと。そう考えると特に新しい発見でもなく当たり前のことかなと思ったりします。
筋肉を鍛えることで全て解決する
批判的に書きましたが、痩せているから安心と思っている人に警鐘を鳴らすという意味でこういう話は広まるのは良いことだと思います。ただ、筋肉量が少ないという点をぼかして欲しくない思って少し批判的に書いてみました。
先ほども書いたように、筋肉はブドウ糖の最大の消費先であり貯蔵庫でもあります。ですから筋肉量が多いことは血糖値をコントロールする上で百害あって一利無しなんですね。そして、もう一つ大事な点は、何もしないと筋肉はドンドン減少していくということです。それを食い止めるには筋トレしかありません。
一般的に生活習慣病の対策として「適度な運動をしましょう」と言われますがその運動はたいていの場合はウォーキングなどの有酸素運動です。
有酸素運動は確かにブドウ糖を消費してくれますが、筋肉を増やす作用はほとんどありません。特にウォーキングなどの低負荷の有酸素運動は脂肪をメインのエネルギーとして使いブドウ糖の消費量も少ないですし、そもそも負荷が低いので消費されるエネルギーも思ったほど大きくありません。
一方、筋トレは時間が比較的短いので消費エネルギーとしては少ないですが、使うエネルギー源はほぼブドウ糖です。さらにトレーニング後に筋肉のサイズ=貯蔵庫のサイズが大きくなるオマケがついてきます。このオマケはバカに出来ませんよ。体型も変わるし普段の動作も軽く感じられるようになるなど筋力アップは生活の質を上げるのにもとても効果があります。
ですから、生活習慣病対策としてやるならウォーキングやジョギングよりもガッツリ筋トレをする方がより効果的です。筋トレはそれほど難しい動作ではなく、ジョギングなどよりケガのリスクはずっと少ないのもポイントです。
まったく運動してこなかった人や、スポーツが苦手な人にこそお勧めできる運動です。
生活習慣病とは無縁で、生涯現役で活発に動きたいならまずは筋トレを始めましょう!
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